ジャズギタリスト・佐津間純さんインタビュー【前編】
インタビュー - ジャズマンに訊く
はじめに
上達のコツや演奏に関する知識など、第一線で活躍しているミュージシャンにさまざまな話を聞くインタビュー記事です。
肉じゃぎのインタビュー企画第一弾として、ジャズギタリストの佐津間純さんにインタビューさせていただきました。
私(肉じゃぎの管理人)は佐津間さんの1stアルバム「JUMP FOR JOY」がリリースされて間もない頃にウェブ上で佐津間さんの存在を知りました。
たしかAmazonかApple Musicで「JUMP FOR JOY」がおすすめのアルバムとして表示されたのが最初だと記憶しています。
視聴しただけで演奏の素晴らしさに感動し、CDを即購入。
その後、実際にライブを観に行き、そこから交流をさせていただくようになりました。
ケニーバレルのようなジャズギターの王道たるプレイが佐津間さんの大きな魅力だと感じています。
今回、約3時間にもわたる濃いジャズ話(ばなし)をお聞きしたので、上達のコツやオススメの練習方法など、参考にしていただければ幸いです。
※インタビューは2021年9月23日にZoomを使用して行われました。
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【公式サイトより】
佐津間純(さつまじゅん)さんプロフィール
1982年10月24日生まれ。神奈川県鎌倉出身。13歳でギターを始め、高校生のときジャズに出会う。ジャズギターを土屋秀樹氏,道下和彦氏,岡安芳明氏等に師事。洗足学園大学ジャズコース卒業。バークリー音楽大学卒業。大学卒業後プロの演奏家としてキャリアをスタートさせる。
2006年度ギブソンジャズギターコンテスト『ジャズライフ賞』受賞。
2009年雑誌「ジャズギター」で若手ジャズギタリストの一人として紹介&インタビュー記事が掲載される。同年、大分県別府で行われた「Be-Beppu Jazz Inn」に出演。日本を代表するジャズギタリスト中牟礼貞則氏、宮之上貴昭氏らと共演。
2010年「佐津間純Trio」でモーションブルーヨコハマに初出演(メンバーは高道晴久b、宮岡慶太ds)。
2012年 後藤輝夫(ts)とのデュオ作品「But Beautiful」がe-onkyoよりダウンロード限定で配信開始(この作品に収録した“Teach Me Tonight”は第20回日本プロ録音賞ベストパフォーマンス賞を受賞)。ジャズボーカリスト鈴木輪のアルバム「Blue Velvet」に全曲参加(※公式にはレコーディングデビュー作品)。
2013年12月佐津間純として待望のデビューアルバム「JUMP FOR JOY」をWhat’s New Recordよりリリース。
2014年7月 配信限定で発表した「BUT BEAUTIFUL/後藤輝夫&佐津間純DUO」がCDとしてリリース。
2015年5月ジャズボーカリスト藤野めぐみのアルバム「Night Pieces」に参加。演奏はもちろんのことアレンジやレコーディング時のディレクションなど制作に大きく関わった作品。同年11月には実力派ジャズベーシスト若林美佐との双頭リーダーアルバム「WEAVER OF DREAMS」をリリース。
2018年 岡田嘉満(ts)のアルバム「At Home」に全曲参加。
2019年 スタンダードカクテル”YUKIGUNI”の制作者である伝説的な現役バーテンダー井山計一を題材にしたドキュメンタリー映画”YUKIGUNI”で音楽を担当。
現在、東京、神奈川を中心に全国で積極的な演奏活動を展開している。ジャズギターの王道をいくプレイスタイルとその暖かく美しい音色は老若男女問わず受け入れられている。現在の日本のジャズシーンにおいて最も注目されている正統派ジャズギタリストの一人である。
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ギターをはじめたきっかけ ─ ピアノのお稽古からギターへ
ギターを始めたきっかけは何ですか?
4歳ぐらいだったかな…。小さい頃からピアノのお稽古に行っていたんですよ。
姉が最初にピアノを習い始めて。
子供の頃って姉が遊び相手みたいなところがあるじゃないですか。
でも姉がピアノのお稽古の時間は遊べないわけですよ。
だからピアノを習えば一緒に楽しくできるかなと思って僕もピアノを習い始めたんですけど、いざ始めてみたらあんまり好きじゃなくて。
とにかくお稽古が嫌だったんですけど、始めちゃった手前、親ももう「練習しなさい!」っていう感じになっちゃって。
ピアノのお稽古を止められる状況じゃなくなったんですよね。
でもとにかく嫌で。
ずっと止める口実を探していたんですよ、何年も。
で、中学の時に音楽の授業でギターを触る機会があって。
中学1年生の時ですね。
ギターってコードの形を2、3個覚えれば曲の伴奏ができるじゃないですか。
それで「なんてお手軽な楽器なんだろう」と思いました。
最初はAmとか Emとか簡単なものを覚えたんですが、「いやー、これはお手軽だな」って思って。
で、ギターの場合は楽譜を読まなくてもいいじゃないですか。
楽譜を読まなくても伴奏できちゃうから。
Amって書いてあったらAmを弾けば伴奏できちゃうので、それでギターを気に入って。
それで「これはいい口実になるな」と思って。
ギターをやりたいからピアノを止めたいって言う。
そのあと親に直談判して、見事にピアノを止めることができました。
だからあまり夢がある始まり方ではないんですけど。
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「セーハするコードが出てくる曲しかやらない!」苦手克服術
ギターを始めてからは誰かに習ったりしていたのですか?
一応お稽古を止めたので、名目上はクラシックギター教室に行くということになったんですよ。
それでとりあえず教室に行ってたんです、少しだけ。
そこで習っていた先生がとてもいい先生で、コードのこととかいろいろ知っていて。
クラシックってコードとかあまりやらないんですけど、わりと何でもやる先生でコードのこととかいろいろ教えてもらったりしました。
クラシックじゃなく、お稽古って感じでもなく。
なんか週に一回、楽しく、という感じで。
で、最初はミスチルとかスピッツとか、流行っていた曲を弾いてましたね。
…最初ってFのコードとか大変じゃなかったですか?
僕は手が大きいのか、あまりFコードについては苦労しませんでしたね…。
そうなんですか。
僕はとにかくFから逃げていて…。
「F とか B♭とかが出てくる曲はやらない!」って決めていました。
でも、そうすると弾ける曲が少なくなっちゃうんですよ。
特にミスチルなんかは途中で転調するから、バレーコードが弾けないと C#m とかそういうコードが弾けないんですよね(笑)。
それで、もうさすがにできる曲がなくなってきそうになって、「セーハするコード(バレーコード)から逃げてはダメだ!」と思って、ある日突然に「セーハするコードが出てくる曲しかやらない!」っていうふうに決めました。
で、それを一週間ぐらい続けたらわりと弾けるようになりました。
わりと極端なやり方での克服ですね。
今でも僕のレッスンの生徒さんや、他の方にもそんなやり方をオススメしていたりします。
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「なんて素敵な世界なんだろう」ポップスからジャズへ
ジャズを始めたきっかけを教えてください。ミスチルとかスピッツとかそういった音楽から比べるとジャズは飛躍したジャンルのような気がするのですが、どのようにジャズを始めたのですか?
高校の時にジャズとか聴いている先輩がいたんですよ。
それでその先輩にいろいろ教えてもらって。
ジャズにはアドリブっていうのがあって毎回弾くことが違うらしい、とか。
ポップスとかを演奏していたりすると、弾くことが毎回違うっていうことはあまりありえないですよね。
で、「毎回違うってどういうことなんだろう?」って思って。
そんなところから、いろいろ聴かせてもらったり図書館に行って聴いたりして。
なんと言うか高校生にしてみたらジャズってすごいオシャレじゃないですか。
大人なムードと言うか…。
僕の場合はたまたまそういう先輩がいて。
ジャズのサウンドを聴く機会があって、「なんてシャレているんだろう…。」みたいな感じで。
そんなところからジャズに憧れました。
マイナーセブンスとかマイナーセブンスフラットファイブとか、あんまり押さえないようなコードを覚えたりして。
たまにミスチルにも出てきたりはするけど、でもそれがもっとたくさん出てくるみたいな(笑)。
最初に聴いたジャズのCDはなんですか?
Jim Hall と Bill Evans の デュオのアルバムで「Undercurrent」というアルバムです。
たまたま図書館で「ジャズギター」で探していたらギターのコーナーにそれがあって、それを借りて。
で、聴いてみたら「何とも言えないオシャレな雰囲気だなぁ…」と思って。
それがジャズだと思っちゃって、「なんて素敵な世界なんだろう」とか思いましたね。
ちなみに、最初にその高校の先輩から教わった音楽というのはどんな音楽だったんですか?
Wes Montgomery だったり Pat Metheny だったり、いろんなものがごちゃごちゃで。
いろんなものを聴いている人だったから、いろいろ教えてもらって。
ラリーカールトンとか、フュージョンもビーバップもいろいろありましたね。
それで触発されて、学校の図書館に行ったらジャズの名盤とかそういうものを借りられるから、とりあえずそういうものを片っ端から借りて聴いてみて。
ただ最初はどうやってジャズを演奏するのか、よくわかっていなかったですね。
最初はいろんなジャズの音源を聴かれていたようですが、そこからどのようにジャズを演奏するようになったのですか?
ジャズを演奏するようになるきっかけなどがあれば教えてください。
大学への進学がきっかけですね。
洗足学園(※)っていうところなんですけど、ギターで受験できる大学があるっていう話を聞いて。
ギターが好きだし、ジャズは素敵だなって思うし、親も大学に入っていいって言うし。
「じゃあ、そこにしよう!」って決めたんです。
それで受験のために、と言うか。
受験をしようと思うといろいろ必要な技術があるじゃないですか。
そこから少しずつ、いろいろと手探りで演奏を始めました。
その頃、受験の1年ぐらい前に、道下和彦さん(※)っていう洗足学園大学でお世話になるジャズギターの先生に初めて習って。
大学に進学する前に1、2回レッスンに行きましたね。
僕も洗足学園音楽大学で行われたジャズの夏期講習に参加したことがあり、そこで道下さんに出会って感銘を受けました。
素晴らしい方ですよね。
演奏に取り組んだのはそんなきっかけです。
洗足学園音楽大学
川崎市の私立大学。
洗足学園音楽大学は、神奈川県川崎市高津区久本2-3-1に本部を置く日本の私立大学である。1967年に設置された。大学の略称は洗足音大。 学校法人洗足学園が経営。併設校に洗足こども短期大学、同一敷地内に付属校として幼稚園から高等学校までを設置している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%97%E8%B6%B3%E5%AD%A6%E5%9C%92%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%A4%A7%E5%AD%A6
【参考】道下和彦さんに関するリンク
道下和彦さんは教則本『ギター無窮動トレーニング』シリーズの著者としても知られるジャズギタリストです。
以下、公式ブログなども併せてチェックしてみてください。
非常に役に立つ情報がアップされています。
公式ブログ:『道』Blog(https://ameblo.jp/wapikodon/)
ツイッター(@wapikodon)
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「なんだあの日本の人は!?」岡安芳明氏との出会い
受験をきっかけにジャズギターを弾くようになったとのことですが、自分で興味を持って演奏するようになるのはどのようなきっかけですか?
それは大学に入ってからですね。
大学に入ってわりとすぐだったと思うんですけど、岡安芳明さん(※)の演奏に触れる機会があって。
あれはいつだっけな…。
ジェシヴァンルーラー(Jesse Van Ruller)っているじゃないですか。
ジェシヴァンルーラーが日本に来ていて、ギタークリニックをやったんですよ。
そのギタークリニックで日本人の方が一人いて、ジェシと一緒に演奏する、みたいな感じで。
で、その方が岡安さんだったんですよね。
それで、個人の好みではあるんですが、どちらかと言うと僕としては岡安さんの方が「良いサウンドがしてるなぁ…」と思って。
「なんだあの日本の人は!?」みたいな(笑)。
メインのジェシヴァンルーラーよりも、あのサイドの人の方が気になる、みたいな感じですか?
そうなんですよ。
そのジェシヴァンルーラーのクリニックに連れていってもらったのも大学の時の先輩で。
もうその先輩にはめちゃめちゃ感謝ですね。
そこで岡安さんの演奏を聴いて「すごい!」と思って。
そのあとにライブハウスにライブを見に行って、「レッスンしてください」っていう感じでレッスンに行くようになりました。
【参考】岡安芳明さんの公式サイト
Guitarist YOSHIAKI OKAYASU official website
ギタリスト岡安芳明のオフィシャルサイト。CD・ライブ情報など。
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機材について
メインのギターは何ですか? 気に入っているポイントなどもあれば教えてください。
ギブソンの SUPER 400っていうギターで、これです。
(※ギターを持ちながら)
サンバーストのやつで。
まずこのギターは私の憧れの岡安芳明さんから譲っていただいて受け継いだギターです。
なので、もうそれだけで最高にハッピーで、もう言うことなしですね。
「これはもう使わなきゃいけないでしょ!」みたいな。
もうそれだけで最高です。
それだけでも十分なんですが、SUPER 400というギターに関して言えば、師匠の岡安さんであったりケニーバレルが使っているということで有名ですよね。
それで、その二人が僕にとってのアイドルなので単純にSUPER 400を弾きたいっていう。
ただの憧れみたいなところがありますけど。
やっぱりSUPER 400にしか出せない重厚でゴージャスなサウンドというのがありますよね。
それがやっぱり魅力かなと思います。
あと、このギターはネックがめちゃくちゃ細いんですよ。
以前使っていたナチュラルのSUPER 400(※)は普通のネックなんですけど。
(※肉じゃぎ管理人注:佐津間さんはナチュラルのSUPER 400も所有しており、以前はそちらがメインで使用されていました。)
このメインのサンバーストの方は1968年製と言われているんですけど、前のギター(ナチュラルの方)も1968年製なんですよ。
だから同じ年に作られているんだけど、全然ネックの形状が違うんですよね。
それで、ネックが細いので、人によっては弾きづらいという人もいる結構いるんですけど。
僕の場合はストレッチが効いたり複雑でゴージャスなサウンドが…。
例えばこういうコードとか、親指を使ってこんなコードを弾いたりとか、あと例えばこういうコードとか。
(※コードいろいろ弾きながら)
こういう押さえづらいコードがネックが細いことによってちょっと中和されるというか、プレイアビリティーが高いというのか。
とても弾きやすいです。
他のネックに比べたらずいぶん楽ですね。
使い勝手が良くて取り回しも良くて、すごく助かってます。
ナチュラルとサンバーストのSUPER 400を比較してサウンドの違いはありますか?
サンバーストの方はもともと売られていた状態の時とは仕様が違うんですけど…。
ブリッジの辺りがちょっと違うらしいんですよ。
岡安さんがこの(ブリッジの)あたりを改造しているらしいんです。
ブリッジがオリジナルのものじゃなくて材質を変えたチタンのサドルにしている、っていう話なんですよね。
だから比べると、ちょっと硬めの音というか。
大きい編成のバンドとかでは音が立ってくるような印象です。
以前使っていたSUPER 400はナチュラルなサウンドというか、もうちょっと木の音がしますね。
ちゃんと聴き比べるとずいぶん違うかもしれないです。
このサンバーストのギターについてはどんな編成でも埋もれないというか、そういうサウンドとセッティングになっています。
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アンプはどういうものを使ってますか?
アンプは2つあって。
1つは Kitchen Table Amplification っていうアンプで、『キッチンテーブルアンプ』って言ったりするんですけど、ハンドメイドで作ってあるアンプです。
それがいまメインで使っているアンプなんですけど、最近もう1つメインで使ってるのがフェンダーのカスタムショップっていう、工房っていうのかな…まぁ普通のフェンダーじゃなくて別のところで作っている Two Tone Amp っていう名前のアンプです。
こちらは常に製造されているわけではなくて不定期に作られているアンプみたいです。
で、これはギタリストの田辺充邦さんに譲ってもらったやつなんです。
だから、下手な演奏はできないな、みたいな。
「上手くならなきゃやばいぞ」、みたいな(笑)。
そういうアンプです。
アンプについて、気に入っているポイントなどがあれば教えてください。
キッチンテーブルについてはまったく雑味がなくクリーンな感じで。
良い意味でも悪い意味でも。
なので、逆に雑味が欲しかったり「ブルージーなサウンドが欲しい」っていう時には向いていないかなっていう印象です。
ざっくり使い分けとしては、ドラムが入ったりとかオルガンバンドだったりとか、大きな編成のバンドの場合はフェンダー(Two Tone Amp)を使って、ソロギターとかベースとのデュオとかそういう小さい編成の時にはキッチンテーブルを使うという感じです。
でも気分ですけどね。
デュオでもたまたま車にアンプ(Two Tone Amp)が積んであったからそれを持って行こうみたいな時もあるので。
しいて言えばそんな使い分けかな。
おもにその2つがメインアンプです。
その他、何かこだわっている機材などがあれば教えて下さい。
えーとですね…。
知り合いのリペアマンの人に作ってもらったシールドがありまして。
知り合いといっても、知り合いの知り合いって感じなんですけど。
こういうやつなんですけど、見た感じでは何の変哲もないシールドで。
(※シールドを持ちながら)
謎なんですけど、ブランド名も特になくて………。
………。
謎のシールドです(笑)。
だけどすごく重宝しています。
音もいいですね。
結構ごつくて重いんですけど、安心して使えてしっかり音が出てくる感じがあって。
なのでこれは重宝しています。
長さは…(シールドを伸ばしながら)
4〜5mって感じですかね。
ペダル(エフェクター)は使いますか?
基本的にはアンプ直ですね。
というかエフェクターは持っていないです。
で。
弦とピックはこんなものを使っています。
(※画面に映しながら。以下に詳細)
僕の場合は一度決めるとずっとそれを使うというか、ある意味無頓着というか。
ギターの弦ははこれ(トマスティック製の.11〜セット:フラットワウンド弦)を使ってます。
この弦以外には一般的に売られているダダリオの弦(.11〜のセット)も使っていますね。
フラットワウンドの弦です。
Thomastik-Infeld トマスティック フラットワウンド弦 Jazz Swing JS111
Thomastik社が作り出したフラットワウンドジャズギター弦は多くの音楽家の間で口コミに広がり、いまや唯一無二の伝説的な存在として認められるようになりました。本当のフラットワウンド弦(決してグランドワウンド=削り出しや、今プレスワウンド=圧縮ではないもの)とは時間と技術を惜しまず、ガラスの表面のように磨きこまれたリボン状のニッケルを丸い芯線に巻いていったものです。
D'Addario ダダリオ エレキギター弦 フラットワウンド Jazz Light .011-.050 ECG24
[.011-.050] XL Chromes Flat Wound
D'Addario ECG24フラットワウンドエレキギター弦
XL Chromes Flat Wound
ヘックスコア(6角芯線)の周りに、下地となるベースの巻弦を施し、その上にフラットなリボン形状の巻弦を巻きつけた特殊構造
ワインディング後、3段階の研磨により均一な太さに仕上げられたフラットワウンド弦
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ピックに関しては、ずっと岡安さんのピックを使っていて、いまもメインで使っているんですけど。
ここ最近は、というかここ2ヶ月ぐらいでちょっといろいろと試してみようと思って、いまこんな形のピックを使っているんですよ。
GHSというメーカーのピックなんですが。
岡安さんのピックと比べると、こんなに差があるんですよ。
ちょっと長細いというか。
以前もこれを使っていたことがあって、GHSの方は単音を弾く時に締まった音がするというか、はっきりとした音が出てくれる感じがあるんです。
ただコードを弾く時にはちょっとだけ弾きにくかったりもするんですけど…。
いまは試行錯誤中ですね。
こっち(岡安さんのシグネイチャーピック)の方が面積が大きいじゃないですか。
そうすると単音を弾く時の印象がだいぶ違ったりします。
こっち(GHS)の方が明確で引き締まった感じというか。
あとコードを弾くときも、まぁまだコントロールがうまくできていないんですが…。
こっち(岡安さんのシグネイチャーピック)だと『ジャッ』て弾くとやっぱり面積が大きい分、弦にたくさん当たって『ガチャン!』ってなっちゃう時があったりするんですけど、こちら(GHS)だと面積が小さいので意外と思いっきり振って当てても小さい音量になるっていうか。
単音の時ははっきりと聴こえて、コードの時はシャープに音量も小さく必要以上に大きくならずに聴こえるみたいな。
ちょっとマニアックな話なんですけど。
たしかにコードを弾くと単音の時よりも意図しない大きな音が出てしまったりしますよね。僕はすごく力を抜いて柔らかく弾くように気を使っています。
そうなんですよね。
その辺に気を使って弾くんですが…。
だけど勢いが落ちちゃうとまた違うじゃないですか。
音量を抑えようとしてゆっくり弾いて、弦を弾(はじ)くタイミングが変わると違う音になるから。
だからわりとこのピック(GHS)はそういう意味ではバランスを取りやすいんではなかろうかと思ってます。
まぁ、ピックもさっきのケーブルもそうですけど、はまり始めると沼ですよね。
側から聴いていたらあまり差がなかったりするんですけど。
でもまぁ弾いてる人にはそれが楽しめるというか。プレイヤーは幸せな人間ですね。
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機材について(YouTubeへのアップ用など)
(※当サイトの機材関連の記事を見ながら)
イリジウム(strymon Iridium)ってあるじゃないですか。
最近はこういう技術もすごいですよね。
一昔前のアンプシミュレーターはなんとなく生っぽくないサウンドだったんですが、最近のものは本当にアンプらしい良い音がしますね。
はい、わかります。
すごいですよね。
僕も最近 YouTube にアップしている動画は、実は全部ラインで録っています。
アンプが映っている動画はアンプを使っているんですが、アンプが映っていない最近の動画はラインで録音しています。
1年ぐらい前までは絶対にありえないと思っていたんですが。
最近はオーディオインターフェイスに入っているアンプシミュレーター機能で、フェンダーっぽいアンプのデザインのものを使用してます。
それで実際にアンプを鳴らす場合と近いようなコントロールセッティングにしてますね。
結構いいムードになります。
実際に生のアンプの音をマイキング録音したサウンドと比較すると、マイキングで録ったほうがアンプの空気感とか奥行きがあるような気はするんですが、パッと聴いた印象ではラインの録音でもとても良いムードに聴こえるんですよね。
確かに生のアンプの音から録音しても、いざ録ったサウンドを聞いてみると思っていたようなサウンドと違っていたりすることがありますよね。
そうなんですよ。
実際にアンプをマイキングして録音するとやり方によっては上手くいかない時もあって、ラインの場合はわりと安定してるなと。
ノイズもないですし。
だからラインでも全然いけるなって感じですね。
ちなみにオーディオインターフェイスはこれを使っているんですよ。
(※ANTELOPE AUDIO の Zen Go Synergy Core)
この中に入っているフェンダーっぽいアンプのシミュレーターを使って、それで録音しちゃってます。
これを使う前はベリンガーっていうメーカーの4000円ぐらいのやつを使っていたんですが。
それが YouTubeのスタートですね。
YouTube に動画をアップしはじめてから半年から1年ぐらいは、ずっとそのベリンガーのオーディオインターフェイスを使ってました。
それと Mac の iMovie と GarageBand を組み合わせていましたね。
GarageBand はいまだに使っていますが。
それで周りのミュージシャンから「いやー。佐津間くん、もうちょっと良いオーディオインターフェースを使った方がいいんじゃない?」とか「せっかくいいギターを使ってるのにもったいない」とか言われて。
で、いろいろ調べてこのオーディオインターフェイスを買ったんですが、実際に使ってみたら「あぁやっぱり違うな」って思いました(笑)。
4000円の機材からそのオーディオインターフェースに移行したとなると大きな違いがありますよね。
そうなんですよ。
けっこう僕はそういうことが多くて。
ギターでも同じようなことがあって、いまのギター(SUPER 400)を使う前はエピフォンの57,000円でケース付きというものでした。
そこからSUPER 400に行ったので…。
ギターの方がだいぶ飛躍しましたね。
実際にSUPER 400を弾いてみて「あぁやっぱり違うんだなー」って(笑)。
自分の場合はそういうところがありますね。
Antelope Audio Zen Go Synergy Core アンテロープ オーディオインターフェイス
Zen Go Synergy Core は、ハイエンドのプロフェッショナルスタジオでのみ使用されている技術を詰め込んだ史上初のバスパワー型デスクトップインターフェースで、どこにいてもプレミアムなサウンドクオリティに即座にアクセスできます。Synergy Core のアナログモデルエフェクトの膨大なライブラリにより、正確で個性的なサウンドを実現できます
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サウンドメイキングについて
ライブなどでのギターのサウンドメイキングでこだわっている点があれば教えて下さい。
音作りで言うと、会場の大きさとか響きとか、あとは共演するバンドの編成によってもだいぶ違うので、あんまりこういうセッティングにしようというのは決めないようにしています。
だからその場に行って、できるだけなんとなくその日の気分で演奏するっていうのが第一で。
だいたいは中音域をマイルドに、モコッとした感じにしたいんですけど…。
そのモコッとした感じのサウンドはギター単体だといい音なんですけど、会場だったり編成にも寄りますが、バンドに入ると埋もれちゃうということがあるじゃないですか。
だから、埋もれない程度に適度に硬く音を作るように気をつけています。
わりと硬めに。
以前はかなりマイルドに音を作っていて、音量もそんなに上げていなかったんですけど、最近は数年前に比べたらずいぶん音量を上げてますね。で音質も硬めにセッティングするようにしています。
硬めというのはトレブル(高域)をやや上げめにする感じでしょうか?
そうですね。
僕の使っているSUPER 400というギターの特性なんですが、低音がかなり出るのでアンプのセッティングとしてはベースを1とか2とかに小さくセッティングしています。
で、ミドルを11時くらいで、トレブルを1時ぐらいにするとか。
まあアンプにもよるんですけど。
あとギターの性質にもよりますよね。
僕のギターの場合は低音が嫌というほど出るので、とにかくベースを下げて、それで全体を調整するという感じのセッティングにしています。
あとは曲によっては手元の(ギターの)ボリュームで音量を調節して。
例えば、バラードだったらトーンを絞ったりして丸っこくしてみたりとか。
手元(ギター)のボリュームやトーンはよく使いますか?
そうですね。
ちょこちょこいじっていますね。
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「丁寧にやること。」演奏時のマインド
ジャズを演奏する時に心掛けていることなどがあれば教えて下さい。
できるだけ周りの音を聴くっていうことですかね。
どうしても自分でいっぱいいっぱいになってしまうので、そうならないように。
常に冷静でいて、心は熱いんですけど。
何が起こっているのか、どういうことになってるのか、っていうのを常に気を付けながらいると。
例えば、演奏していて自分はこんなふうにしたいと思っているんだけど違う方向に、自分の意図しない方向に行っちゃったりすることがあるじゃないですか。
そういう時でも、「どうなるのかな?」「どうなっちゃうのかな?」って楽しんでいられるようにすると。
心では冷や冷やしているんだけど、でも同時にワクワクしているみたいな。
「どこ行っちゃうのよ!?」みたいな、いつもそういう気持ちでいますね。
「心掛け」というか、いつもそういう気持ちで演奏しています。
それで、そういう余裕が持てるような心の状態になるには、いつもいろんな準備がされていないと難しいと思うので。
練習だったり、あとは、もし演奏する曲が決まっていたら、その曲について詳しく知っておくとか。
そんな準備はそれなりにしますね。
できるところまでやっておく、っていう感じです。
あとは自分に素直に。
無理はしないで、その場でできることを一生懸命、丁寧にやる。
それで結局練習で出来ないことっていうのは出来ないので。
やっていないことはできないし。自分が好きなことや「いいな」って思ったことを弾く。
嫌いなものは嫌いと素直に心で思っていて、という感じですかね。
でもライブでは嫌いなものというか、こう行きたくないなっていうものがあったとしても、そこに飛び込んでみると意外と楽しかったり、良いサウンドになったりということもあるんですよね。
嫌いなもの、行きたくない、ということについて具体的にはどういうことですか?
うーん、なかなか言いづらいんですが、「嫌い」と言うとちょっと誤解があるかもしれないのですが、こうはあんまり行きたくないなという場合があるじゃないですか。
例えば何かの曲を演奏した場合に、自分の中ではその曲はそんなテンポで演奏しないとか、「それはそういう曲じゃないだろう」って自分の中では思っているとか。
「こんなふうには自分では演奏しない」とか思ってる自分もいるんだけど、でもいざ始まってみたらもうやるしかないからやってみるっていう。
それで一生懸命そこで考える、と。
「これはいいんじゃないかな」だったり「やってみると意外といいね」とか。
まぁ結局あんまりうまくいかないな、っていうことも多いけど。
そんなふうに楽しめることもあるので、何と言うか、そういうことも決めつけずにフレキシブルにいるっていうことですね。
だから周りの音をよく聴いて、フレキシブルにいる、と。
で、「あんまり好きじゃないな」って思うときは素直にそう思っていると。
だけど、何とかしようって。
何とかしようと言うか、「何とか面白くならないかな?」っていうふうに考える、という感じですかね。
そういうところが面白いというか、ジャズの醍醐味みたいなところですかね。
常にいろんなことが起こっていて、何だかニヤニヤしながら演っているというか。
ニヤニヤって言ったらアレだけど、「そうなっちゃうのか!」「おーやばいぞ!やばいぞ!」「あぁ、惜(お)しい!」みたいな。
だから、あんまり切羽詰まったりとかせずに、気合いは入ってるんだけどあまりガツガツしないように、心に余裕を持って。
練習したことや普段からやってることを丁寧にやる。
丁寧にやること。
丁寧に。
そんなことかな。
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後半へ続く
インタビュー後半はこちらから
ジャズギタリスト・佐津間純さんインタビュー【後編】 | インタビュー - ジャズマンに訊く | 【血となり肉となるジャズギター】肉じゃぎ
肉じゃぎ
佐津間純さんインタビューの後編です。 前半はこちら 上達のコツ 演奏が上達するためのコツなどはありますか? まずは色々なものを聴いて出来れば、自分のアイドル(好きな演奏家)を見つけ...
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【公式サイト】Jazz Guitarist "Jun Satsuma" Official Website
Jazz Guitarist "Jun Satsuma" Official Website
Jazz Guitarist "Jun Satsuma" Official Website
Jazz Guitarist "Jun Satsuma" Official Website
【YouTubeチャンネル】佐津間純 Jun Satsuma
YouTube
Welcome to Jazz Guitarist Jun Satsuma's Official Youtube Channel. ~ジャズギタリスト佐津間純Youtubeチャンネルへようこそ!~ "Playing the jazz guitar" "Playing some beautiful son...
Glad There is You / 後藤輝夫&佐津間純
【収録曲】
1. Flamingo
2. Love Letters
3. Sunflower
4. Chelsea Bridge
5. I'm Glad There is You
6. Ligia
7. Lotus Blossom
8. Feeling of Jazz
9. Old Folks
10. Night Lights
11. Beautiful Friendship
12. Ev'ry Time We Say Goodbye
Jump For Joy
エリントン作曲でケニー・バレルの名演でも知られるナンバーをアルバム・タイトルに冠した作品らしく、1曲目のオリジナル「マスタッシュズ・スマイル」も実にご機嫌というか、ジャズの楽しさ、50年代のハードバップ全盛期のパワーやカッコ良さが伝わって来る。
現在31歳。神奈川県鎌倉市出身。洗足学園音楽大学からバークリー音楽大学に進み、2006年にギブソンジャズギターコンテストに入賞した佐津間純。影響を受けた音楽家にケニー・バレルと岡安芳明、道下和彦を挙げているが、2曲目の「グルービン・アット・ザ・ナイト」はそのケニーに捧げた曲で、続く「マイナーズ・フィーリング」共にブルージーさ満点の自作曲は純粋にカッコイイ。期待度◎です。(TheWalker's 加瀬正之)
WEAVER OF DREAMS
正統派ジャズ・ギタリスト佐津間純と実力派女性ベーシスト若林美佐の双頭リーダー&デュオ・アルバム
オープニングから明るく軽快なサウンドに惹き込まれる。愛用のGibson Super 400と師である岡安芳明所有のK. Yairi のアコースティックギターで心地良い音色を聴かせる佐津間純。アコースティックならではの音色と男勝りの力強いビートを聴かせる若林美佐。2007年頃から東京、神奈川を中心に活動続けており、逗子で定期的に開催している「朝Jazz」でも話題の2人。若林のボーイングがフィーチャーされたS・クラーク作の「My Conception」。憧れのK・バレルに捧げた佐津間のオリジナル「The Corner」の他、若林のベースソロによるナンバーや岡安芳明作の楽曲も必聴。心温まる1枚。(The Walker’s 加瀬正之)
But Beautiful / 後藤輝夫&佐津間純
サックスプレイヤー後藤輝夫とギタリスト佐津間純のデュオによる極上のジャズ・スタンダード・アルバム
この作品はもともとハイレゾ音源としてe-onkyoより配信限定で発表された作品で、今回待望のCD化が実現。ジャズだけでなく幅広いジャンルで活躍してきたベテランサックスプレイヤー後藤輝夫と2013年12月にデビューアルバム『Jump For Joy』をリリースした注目の若手ジャズ・ギタリスト佐津間純とのこのデュオ作品は、 「第20回日本プロ音楽録音賞ベストパフォーマー賞」を受賞する等、以前から注目されていた作品。同賞受賞曲「Teach Me Tonight」を含む12曲を収録。
淡々とした演奏の中に味わいもあり、サックスの息づかいやギターのピッキングと臨場感もリアルに再現されている。(The Walker’s 加瀬正之)