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『度オタク』になろう!音程(インターバル)解説

『2度ってどんな特徴の音?』とか『#11thってどう使うの?』と聞かれたらうまく答えられますか?

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ジャズ演奏では音程(インターバル)の理解は必須です。

音程は『度数』で表しますが、音程の習得はジャズを演奏するために必要かつ重要なステップなのです。

音程を理解していないと
・コードが押さえられない
・コードの応用の仕方がわからない(自分なりにコードを弾くことができない)
・どんなフレーズを弾けばいいかわからない
・コード進行に対してどんなメロディーが合うかわからない
・誰かの演奏をコピーしても何をやっているのかわからない

などなど、演奏するのに不都合なことばかりになってしまいます。

コードの把握やフレーズの理解、アドリブ演奏するときの音の使い方など、音程(インターバル)をわかっていることでジャズ演奏につながります。

知識ベースではなく、なるべく実際の演奏で使える音程(インターバル)の解説

というわけで、理論書などに載っている堅苦しい情報ではなく、実際に演奏するのに役立ちそうな『演奏目線』での音程の解説です。

音程に関する内容をまとめて一気に!、ではなく『各度数ごと』に、ゆっくり理解を深めていきましょう。
音程・度数について詳しくなればなるほど、演奏のレベルが向上します。
ジャズが上手な人は、ほぼ間違いなく音程に関する知識が豊富な『度オタク』です。

ジャズの演奏には音楽理論の習得や技術的な練習など、小難しい課題がたくさんあってイヤになりますが、少しずつ理解を深めることで上達・スキルアップできます。



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音程の全体的な解説



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『2度』と『9度』について

2度。テンションとしては9度、9th(ナインス)。
2度が1オクターブ上になると『9度あるいは9th(ナインス)』となり、いわゆる『テンション』として扱われます。
同じ音ですが、呼び方を変えて使用するわけです。


『ド』から見たら2度は『レ』の音。
『-2度(♭9th)』を指す場合は『ド』から見た『レ♭』の音。


2度には
・『2度(あるいは9th)』
・『-2度(♭9th)』

と2種類あるのがポイントです。
(『−』ではなく『♭』とも表記します)


演奏者内での言い方(表現)としては、2度、マイナス2(マイナスに)、♭2(フラットに)、9th(ナインス)、♭9th(フラットナインス)、-9(マイナスきゅー)など。

いずれも2度あるいは-2度を意味しますが、厳密に区別はされていないと思います。
テンションとして使う場合は9th(ナインス)・♭9th(フラットナインス)として扱われますが、『そのコードに(テンションとして)2度の音も入れて』みたいなやりとりもあります。

わかりにくいかもしれないですが、まずは『2度』=『9度』と覚えましょう。

『テンション。テンション。』って、テンションてなんやねん

テンションは調味料。
テンションはお洒落な小物。
テンションはオプション品。
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どれでも理解しやすいものでご理解ください。

コードを
・華やかにする
・色をそえる
・ちょっと豪華にする

という、脇役的な音です。

2度が1オクターブ上がると9度となり、いわゆる『テンション』扱いになるのは『2度だと1度の近くにいてうざい』からです。
音として近いので、同時に鳴らすには濁りが強いわけです。

それが1オクターブ上がったところにいる2度の音(9度と呼ぶ)だと、1度から遠いのでウザさが軽減され、濁りが弱くなる(弱く感じる)のです。

濁りが弱く、コードに合わせるとちょっと不調和感があって違和感が出る。
この状態の音が、特にジャズではカッコよく、バッキングでもソロでも基本コードにガンガン加えて使用されます。



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『2度(あるいは9th)』と『-2度(♭9th)』の響きの違い

2度は和音の基本構成音(1度・3度・5度・7度)ではないのでテンションとしての利用が多いです。
コードに足して、響きを変える(色彩感を出す)役割です。

大きなポイントは『2度(あるいは9th)』と『-2度(♭9th)』の響きの違い。

『2度(あるいは9th)』はナチュラル(明るい)、『-2度(♭9th)』はオルタード(暗い)という扱いです。

・メジャー2-5(ツーファイブ)では『2度(あるいは9th)』
・マイナー2-5(ツーファイブ)では『-2度(♭9th)』

がフレーズとしてもコード(バッキング)としても適合する、とされています。

たしかに弾いてみるとその通りです。

が!
メジャー2-5(ツーファイブ)でも『-2度(♭9th)』はフレーズにマッチするので、結局は使い方次第、といったところでしょう。
マイナー2-5(ツーファイブ)に『2度(9th)』もいけます(-2度(♭9th)よりはスパイシー、というか不調和感はあるけど、それがかっこよかったりする)。



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【重要】7thの区別における利用法

とても大事なポイントなのは7thコード上での響きです。

7thコードには
『ナチュラル7th』と『オルタード7th』
が存在し、ジャズでは非常に、非常に、非常に、よく出てきます。

ここは、特に初心者が区別しづらいところで、
・『ナチュラル7th』コードのところでオルタード7thなフレーズを弾いてしまう
(【例】D7-Dm7-G7-C△7のD7のところでGに向かうオルタードを弾いちゃう)
・『ナチュラル7th』コードのところでマイナー7thを弾いてしまう
(【例】D7-Dm7-G7-C△7のD7のところでDm7を弾いちゃう)
など、中級者以上に近くなっても(あるいはジャズ歴が長くても)、きちんと弾きわけられなかったりするポイントです。


『ナチュラル7th』は、例えば、Take the A Train(Key C)の3小節目に出てくる D7 、イパネマの娘の(Key F)の3小節目に出てくる G7のような、『5度進行で解決しない7th』のことです。
ジャズでは、素直にコードが進行せず『いったん『ナチュラル7th』行っとこ!』『すぐに帰らないで、いったんカフェに寄っていこう』的な構成がめちゃくちゃ多いのです。


『オルタード7th』は把握しやすいのですが、『ナチュラル7th』の方は苦手?な方が多いように感じます。

私(肉じゃぎの管理人)もジャズに慣れてくるまでは『ナチュラル7th』をきちんと把握しておらず、『ナチュラル7th』のところでオルタードなフレーズ(-9や♭13が多分に含まれたオルタードスケールのフレーズ)を真顔でかましたりしていました。
ジャムセッションでは上級者の皆さんから『あいつ全然わかってねーな』と思われていたことでしょう。

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で。

この5度解決しない『ナチュラル7th』と『オルタード7th』は機能がまったく違うので演奏上ではきちんと弾きわける、という話ですが、この7thコードの区別に
2度が使われたりする、ということです。
5度解決する7thコードは一目でわかりますが(D-7・G7・C△7など)、ときどき微妙な7thも出てきます。
そんな場合に、7thコードに『2度(あるいは9th)』と『-2度(♭9th)』どちらがマッチするか、を考えます。

・『2度(あるいは9th)』が違和感なく合えば『ナチュラル7th』
・『-2度(♭9th)』が違和感なく合えば『オルタード7th』


以前、ギターのレッスンを受けに行った時に7thのフレージングで困っていたら
『9thと-9、どっちが合うかがポイントです』
とのアドバイスを受け、開眼しました。

7thコードにおける9thの調和性が鍵だったのです。

たしかにナチュラル7thに-9の響きは『雑味が出る』感じで不調和に感じます。
※7thコード単独に対して9th or -9th を当てるとよくわからくなるので、『D7-Dm7-G7-C△7』などコードが進行しているなかで合わせてみるとわかりやすいです。

というわけで、7thコードの区別、演奏時のフレージングに迷ったら2度(9th)のマッチ具合を調べてみましょう。



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クラスター

モダンなジャズ演奏では、『クラスター』といって、わざと不協和な音を鳴らすことによって音を濁らせる奏法がよく見られます。
この『クラスター』で使用されるのが『-2度(♭9th)』。
Jim HallやKenny Burrell、最近ではJulian Lageなどがよく使用しますね。まぁ、使わないジャズミュージシャンはいないです。


(ソロでもバッキングでも)出したい音に『-2度(♭9th)』を重ねるとクラスター状態になります。
つまり、出したい音と『-2度(♭9th)』が同時に鳴って、ビミョーにズレた感じになっている状態です。


音をぶつける、とも言いますね。
食べ物で言うと、ピリッと効くワサビ、といったところでしょうか。

絶妙なハーモニーが非常にカッコ良いので、ぜひ指板上の位置を覚えて和音に組み込んでみてください。



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指板上の位置について


ギター指板上での2度(9度)の配置



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ギター指板上での2度(9度)の配置

2度の覚え方は
・ルートのとなり:『-2・-9』
・あるいはルート2フレット上(ルートのとなりのとなり):『2・9』
です。

【注意点】
ルートのとなりの2度は覚えやすいですが、ルートと離れて使う場合(テンションとして使う場合)の配置は忘れやすいです。

2度・-2度はテンションとして非常に重要なので何度も確認しながら覚えましょう。

実際の演奏で使えそうなポイント

-2(-9)度はオルタードスケールの構成音です。

メジャー2-5(ツーファイブ)でもマイナー2-5でも、とにかく2-5フレーズでは死ぬほど使います。

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【重要】
2-5-1というコード進行において、律儀に2-5-1と追ってしまいがちですが、重要なのは5から1に行く流れです。

2-5-1の大事なポイントは5から1に行く進行(展開)なのです。
なので、2-5フレーズを弾く場合など、慣れてくるほど2の部分を意識することは少なくなるかもしれません。

Joe Passは『2-5-1の進行を5-1と捉えている』と言っています。

具体的にいうと、例えば
Dm7 - G7 - C△7
というコード進行があった場合、律儀にDm7 - G7 - C△7 とコードを追うように弾くのではなく、G7 - C△7と考えて弾く、ということです。
Dm7 - G7のところで Dm7はほぼ無視してG7のフレーズ(Gオルタードなど)を弾くというわけですね。


ジャズだとコード進行が複雑だったり転調が多い曲がたくさんありますが、きちんと全てのコードを追うように弾くと間に合いません。
(頭の中がめちゃくちゃになる)
2-5-1の部分は5-1と捉えれば良い、と覚えておけばスムーズに対応しやすくなります。


ただし!ただし!ただし!
テンポが早い場合はいいですが、バラードなどテンポの遅い曲で2-5-1の箇所を『ざっくり5-1』で弾くと、周囲と合わないことがあります。
テンポが早いと違和感がないのですが、2-5の2はまだコード進行の穏やかな部分なので(ルートへの解決欲求が低い)、5の部分で多用されるテンションバリバリの音使いは違和感がでてしまうのです。

スローな曲では2-5-1フレーズは丁寧に弾いた方が良いかも、、と覚えておきましょう。



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