コード < ジャズギター研究所




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豊富なボイシングを習得する重要性について理解する

ジャズを学びはじめると、ほぼ間違いなくコードの複雑さの壁にぶち当たります。

具体的に言うと、『いろんなテンションが含まれている』『コードの役割や機能が難しい』『一般的なコードフォームとは違うことが多くて指板上で押さえづらい』といったことから理解しづらかったり、演奏の上達が難しかったりします。

特にジャズを始めたばかりの場合、ジャズではロックやポップスではなかなか使わないコード(コードフォーム)が頻出するため、『こんなにたくさんのコードを覚えてられるか!』『複雑なフォームで押さえられない!』『腱鞘炎になるわ!』と心が折れやすいかもしれません。

結果、ジャズギタリストの初学者によく見受けられるのがボイシングの知識の欠如です。
簡単に言えば、似たような&押さえやすいコードフォームしか知らない(使えない)状態。例えば、演奏中にメジャーセブンスが出てきたら同じような押さえ方しかできない、という状況です。
※上記の漫画のとおり


結論から言うと、コードの知識は必須中の必須で、ボイシングの引き出しが増えるほど上達します。
言い方を変えれば、ジャズギターが上手い人はコードの知識が豊富で、ボイシングの理解も深いと言うことです。


今回は、なぜ多様なボイシングの習得が必要か解説します。



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ボイシングの引き出しが豊富になるメリットとデメリット

メリット

  • 演奏における表現が豊かになる
  • 伴奏のバリエーションが増える・豊かになる
  • ソロのフレーズの引き出しが増える(=ソロの上達)
  • いろんなミュージシャンの演奏の理解がしやすくなる
  • 演奏の幅が広がるのでいろんな楽器との組み合わせに対応できる
  • 自分なりの演奏表現を模索できる

デメリット

なし



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コードの理解が進む → ボイシングのバリエーションが増える → 上達する

上に書いたとおり、豊富なボイシングの引き出しがあることはメリットしかありません。
以下、そのメリットについて解説します。


まずボイシングを簡単に定義すると『コード(和音)において音の取捨選択をしてハーモニーを決める』ことです。

例えばメジャーセブンスであれば、『1、3、5、△7』が基本的な構成音ですが、必ずしも『1、3、5、△7』を弾く必要はなく、
・1、3、5、△7
・1、3、△7
・1、3、△7、9
・3、△7、9、13

などなど、好きなように弾けば良いわけです。

この時の、『自分がどの音程を選んで弾くか』=ボイシング、ということになるのですが、「どの音程を弾くか(選ぶか)」という取捨選択は簡単にはできません。

適切なボイシングのためには
・コードに対してどのテンションがマッチするのか
・逆に、コードに対してどのテンションがマッチしないのか
・どの音を弾くと他の楽器とぶつかるか、ぶつからないか
・コードの構成音のうち任意の音程を省いても、きちんとハーモニーが成立するか

といった知識と経験が必要です。

ここが、コードについて、またコードだけではなくジャズ全体の演奏について学ぶ必要がある箇所です。

「どの音程を弾くか(選ぶか)」「どの音程を弾かないか(選ばないか)」

ギターの場合は物理的な制約があり、ピアノのほどの自由が効きません。
そのため、はじめは「どの音程を弾くか(選ぶか)」が悩みどころですが、理解が進むと徐々に「どの音程を弾かないか(選ばないか)」という選択の方が大事になってきます。

コードの基本的な構成音はなるべく効率的に省いてテンションを入れる、とか、どこかの音程をオクターブ下げて(=ドロップコード)ハーモニーを変える、といったハーモニーの決定です。

どシンプルに言えば、より美しいハーモニーを出すためにいろいろ工夫してコードを弾く、ということですね。

このハーモニーの作り方に知識と経験と研究と練習が必要で(たくさん必要…(汗))、一朝一夕ではハーモニーを操ることはできません。
ジャズはコードが超重要な音楽なので、ジャズを演奏するということは、ひたすらハーモニーを学び・追求する必要があるのです。

ハーモニーを追求、とか小難しいことは言わずとも
・ベースがいるのでルートは弾かない
・テンションをふんだんに弾いてくれるピアノがいるのでシンプルな和音構成にする
といったボイシングの工夫は割と日常茶飯事です。

ハーモニーが先、フレーズは後

これは私(肉じゃぎの管理人)も誤解していたことで、ジャズ初学者にありがちな間違いなのですが、
・ハーモニーよりもソロを重視する
という考えです。

ハーモニーのなかに音階(スケール)があり、フレーズが成立。
つまりハーモニーが先なのです。
※厳密には同時に成立しているんですが、とにかく「ハーモニーが後付け」のような誤解が解ければOKです。

ロックのギターソロでは『ペンタ一発で押し通す』とかで成立したりしますが、ジャズのアドリブは基本的にコードを追いかける必要があるため、ソロのフレージングとハーモニー(コード)の理解の両立が欠かせません。
ハーモニー(コード)を理解していないとソロのメロディーが正しく弾けない、ということになります。

ソロのフレーズの引き出しが増える(=ソロの上達)

コード進行上の、とあるコードに対して
・コードの構成音に加えて『♭9、#11、♭13』のテンションがマッチすると理解しているプレイヤー

・『1、3、5、♭7』が構成音だとしか理解していないプレイヤー
では、ソロのフレージングが違ってくるのは当然です。

知識が乏しいことで、ソロのフレーズが稚拙だったりミストーンを弾いてしまったりします。
逆に、知識が豊富なことでフレージングに幅が広がり、ミスがなく狙った音を弾ける、というわけです。

つまり、上の「メリット」にも書いたとおり
ボイシングの引き出しが豊富=ソロが上手い(フレージングが豊富)
ということになります。

結果的に、ハーモニーを多彩に演奏できて伴奏が上手くなればなるほどソロも上手くなる、と言って過言ではありません。




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ボイシングを追求しよう

どうやってボイシングを強化するか

コードの理解を深めて、かつボイシングを強化するには
・いろんなミュージシャンのコピー
・コードの勉強
・実際にトライ&エラー

といった地道な学習と練習が必要です。

てっとり早いのは、いろんなミュージシャン(ギタリスト)のコードワークをコピーして、知らないコードフォームに出会ったらメモして練習することでしょうか。
※YouTubeに採譜した動画がたくさんあります

ひとまずはボイシングに意識を向けることと、コードのバリエーションを増やすために模索するのが重要です。
地道に楽しみながらがんばりましょう。

いろんなミュージシャンのコピーが豊富でオススメのYouTubeチャンネル







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オススメの書籍


ケニー・バレルの軌跡 (ジャズ・ギター・インプロヴィゼイション)

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本書は、現代のジャズ・ギタリストに必要なコード・ヴォイシングの情報と、それらを効率よくフィンガーボード上で具体化する能力を得るためのエクササイズをまとめたものです。トライアドから始めて、7thおよび9thコードやクォータル、クラスター・ヴォイシング、スラッシュ・コード、さらにスタンダードなコード・プログレッションにおけるさまざまな実践例へと進むことによって、単に複雑なコードをシェイプだけで記憶するのではなく、論理的に理解するように工夫されています。

その他にも、クラシック音楽に多用されるオープン・トライアドや、ユニークなインターヴァルの組み合わせなど、少ない音で効果的に響く、ギターならではのモダンなコード・ヴォイシングを発展させたい学習者に最適な教材となるでしょう。

本書の主な内容

■トライアド
■7thコードのシェイプと転回形
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■クラスター・ヴォイシング
■インターヴァリック・コンピング
■スラッシュ・コード


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